尖度によって形状の指定されるピーク形状函数とローレンツ型函数の畳込

「尖度(せんど)によって連続的に形状が変化し,ローレンツ型函数との畳込(たたみこみ)ピーク形状の計算も容易なピーク形状函数システム」を新しく作りました。下の動画ではピーク形状函数の標準偏差を σ, 尖度を k,ローレンツ型函数の半値半幅を w とした畳込ピーク形状を示します。

尖度 k による

粉末X線回折測定装置固有の収差は,装置収差函数として表されます。投稿者の提案した逆畳込的な方法(「『観測強度データのフーリエ変換』を『収差函数のフーリエ変換』で除し,『収差函数のフーリエ変換の複素絶対値』を乗じた値」の逆フーリエ変換を計算すること)を用いるとします。

この方法で,装置収差の奇数階 (odd-order) キュムラントの影響は(収差函数モデルが正しければ)すべて除去されます。収差によるピーク位置シフトは修正され,ピーク形状の非対称な変形の影響も除去され,「正しい位置にある左右対称なピーク形状」が得られます。

この「逆畳込処理」では装置収差の偶数階 (even-order) キュムラントの影響は(収差函数モデルが正しくても正しくなくても)変化しません。ピークの積分強度と実行的な線幅,ピーク形状の尖り方も変化しません。

装置収差函数の4階までのキュムラントを求めることは難しくありません。「逆畳込的な処理」の施されたピーク形状の強度(面積)と幅,尖り方のうち,「装置収差に由来する変化」の部分は正確に予想できます。実用的には0階・2階・4階キュムラントを正しくモデル化できれば良いでしょう。

一方で特性X線の分光強度分布ピーク形状は,(厳密にはそうではないとも言えるのですが)ローレンツ型函数で良くモデル化されます。実測のX線回折ピーク形状は「X線源の分光プロファイルの影響」と「装置収差のプロファイルの影響」「試料固有の有限結晶サイズ・構造歪みに由来する変形」の畳込として表現されます。

対称化されたピーク形状のうち装置収差プロファイルの0・2・4階キュムラントはわかっているので,それを再現できるようなピーク形状モデル函数があれば良いのですが,事実上存在していませんでした。このピーク形状モデル函数の形状は,(対称形状の場合)「『4階キュムラント』と『2階キュムラントの自乗』の比から3を引いた値」として定義される「尖度(せんど)」だけで特定されます。

技術的な内容を PDF 書類としてまとめました。

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